インプラントのオールオン4と総入れ歯では費用・寿命はどう違う?各々のメリット・デメリット等も解説

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歯科コラム/2024年1月18日

インプラントのオールオン4と総入れ歯では費用・寿命はどう違う?各々のメリット・デメリット等も解説

インプラントは、すべての歯を失った症例にも適応することができますが、人工歯根を埋め込む本数が多くなるというデメリットを伴います。具体的には、片側の顎だけでも8~14本の人工歯根を埋め込まなければならず、経済面はもちろんのこと、心身への負担も相応に大きくなります。

そうした通常のインプラントの欠点を解消できる方法が「オールオン4」です。ここではオールオン4の特徴やメリット・デメリットを、総入れ歯と比較しながら詳しく解説をします。

インプラントのオールオン4とは

オールオン4とは、4本のインプラント体(人工歯根)を使用して、総入れ歯のような形をした上部構造を装着する治療法です。人工歯根の埋入本数はケースによって少し変動することがあるため、厳密には4~6本のインプラント体で上部構造を支えます。すべての歯を失った場合の通常のインプラント治療と比較すると、人工歯根の埋入本数を極端に少なくすることが可能です。その結果、患者さんの心身および経済面の負担を大きく減らせるでしょう。

オールオン4のメリット・デメリット

オールオン4は、保険診療の総入れ歯と比較すると、以下のメリット・デメリットが考えられます。

オールオン4のメリット
  • 天然歯に近い咬合力を獲得できる
  • 顎の骨が痩せにくい
  • 装置がズレたり、外れたりしない
  • 見た目が自然で美しい
  • 装置が長持ちしやすい
  • 口元や顔貌の印象が若くなる

オールオン4では、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋入することから、硬い食べ物でもしっかり噛めるようになります。噛んだ時の力が顎に伝わり、骨も健康に保たれることが期待されます。
固定式の装置であるオールオン4は、食事や会話の際にズレたり、外れたりすることもありません。また、総入れ歯と比較すると装置が小型であるため、見た目が自然で美しく、若々しい印象を与えます。

オールオン4のデメリット
  • 治療期間が長い
  • 外科手術が必須となる
  • 保険が適用されず、費用が高い

保険診療の総入れ歯は1~2ヵ月で治療が完了しますが、オールオン4の場合は外科手術が必要となるため、治療期間は半年程度に及びます。また、保険が適用されないことから、総入れ歯よりも費用は高くなります。

【関連記事】オールオン4のメリット・デメリット:総入れ歯やインプラントと比較して解説

総入れ歯とは

総入れ歯とは、すべての歯を失った症例に適応される入れ歯です。おそらく、皆さんが「入れ歯」と聞いて頭にイメージする装置が総入れ歯です。義歯床(ぎししょう)というレジンで作られた土台の部分と人工歯で構成されており、すべての歯がきれいに並んだ状態で装着できます。部分入れ歯と比較すると装置が大きくなりますが、設計がシンプルで取り扱いやすいというメリットもあります。

総入れ歯のメリット・デメリット

総入れ歯は、インプラントのオールオン4と比較すると、次に挙げるようなメリット・デメリットを伴います。

総入れ歯のメリット
  • 保険が適用されて費用が安い
  • 外科手術が必要ない
  • 治療が早く終わる

総入れ歯は、保険が適用される代表的な装置です。1~3割負担で装置を作れることから、治療費が安く、経済面におけるメリットが得られやすい治療法といえるでしょう。また、総入れ歯ではオールオン4で行うような外科手術が不要となっているため、心身への負担を軽減できます。治療期間も自ずと短くなります。

総入れ歯のデメリット
  • 見た目があまり良くない
  • 咬合力の再現性は高くはない
  • 噛んだ時にズレたり、外れたりする
  • 装置の寿命が比較的短い
  • 装着する手間がかかる

総入れ歯を装着してみてまず感じやすいのが装置の違和感です。総入れ歯は、お口の粘膜に吸着させて固定するため、装置が大きくなる傾向にあるからです。この点はオールオン4のスリムな上部構造との大きな違いといえるでしょう。また、総入れ歯はオールオン4のような固定式ではなく着脱式なので、噛む力の再現性はあまり高くありません。噛んだ時にズレたり、外れたりすることもあります。総入れ歯は装置の寿命が比較的短いというデメリットも伴います。

オールオン4と総入れ歯の違い

ここからは、オールオン4と総入れ歯を「費用」と「寿命」という観点から比較していきます。

違い①費用

インプラント治療の一種であるオールオン4と総入れ歯では、費用面に決定的な違いが見られます。

まず、オールオン4に関してですが、保険が適用されないことから、治療にかかった費用は全額自己負担となります。全国的な相場としては片側の顎で2,000,000~4,000,000円程度かかるのがオールオン4です。保険が適用されない、手術が必要、特別な材料を使用する、専門的な知識・技術・設備が必須である、という多くの理由から、治療費が高額になっています。

一方、保険が適用される総入れ歯は、片側の顎で5,000~15,000円程度で作れます。保険の総入れ歯は義歯床も人工歯も歯科用プラスチックであるレジンで作られているため、このような安価で作成できるのです。ただし、総入れ歯は寿命が短く、経年的に劣化が起こりやすいため、数ヵ月ごとの調整や数年ごとの作り直しが必要となります。その点も踏まえると、総入れ歯がオールオン4よりも極端に安いというわけではないことがわかります。

【関連記事】オールオン4 の治療費:相場や費用が抑えられる理由等を解説

違い②寿命

オールオン4と総入れ歯には、寿命という面でも大きな違いが見られます。顎の骨に人工歯根を埋め込むオールオン4の寿命は、標準的なインプラントと大差はなく、10~15年程度、持つものと考えられています。もちろん、治療後のケアとメンテナンスをしっかり継続すれば一生涯使い続けることも難しくはありません。

一方、保険診療で作った総入れ歯の寿命は、一般的に3~4年程度といわれています。総入れ歯はお口の中に装着するだけの装置なので、年月が経過するとともに合わなくなってくるのです。それはお口と装置の両方に変化が見られるからです。そういう意味でまったく同じ症例であっても、オールオン4と総入れ歯とでは、装置の寿命に大きな違いが表れますので、その点にはご注意ください。

オールオン4と総入れ歯のケア

オールオン4は固定式で、総入れ歯は着脱式の装置であることから、ケアの方法にも違いが見られます。

ケア➀オールオン4

オールオン4は、少し特殊な形をしている装置ですので、毎食後10~15分程度かけてしっかりケアするようにしましょう。その際、硬い歯ブラシを使うと人工歯を傷つける恐れがあるため、ふつうかやわらかめの歯ブラシで、やさしくブラッシングするよう心がけてください。

また、オールオン4は歯科医院でのメンテナンス・クリーニングが必須ですので、3~4ヵ月に1回は定期検診を受けるようにしてください。治療から2年以上経過してオールオン4の状態が安定している場合、定期検診の頻度を半年に1回程度にしても問題ありません。

ケア②総入れ歯

総入れ歯は、必ず装置をお口から外した状態でケアするようにしましょう。使用するのは水道水と入れ歯専用の歯ブラシ(義歯ブラシ)です。熱湯で煮沸消毒すると、総入れ歯が変形してしまうため、絶対に避けてください。夜眠る前に「入れ歯洗浄剤」を使うことで、ブラッシングでは落としきれない汚れを化学的に除去できます。

入れ歯は、一見するとあまり汚れていないように見えるかもしれませんが、お口に入れた時点で細菌が付着しています。歯と同じように歯垢や歯石も堆積することから、天然歯と同様、あるいはそれ以上のきめ細やかなケアが必須となります。不潔な入れ歯を使い続けると、義歯性口内炎や口腔カンジダ症といったお口の粘膜の病気を引き起こしてしまうため、十分にご注意ください。

まとめ

今回は、オールオン4と総入れ歯の違いについて、費用や寿命の観点から比較しました。両者は似たような装置に見えますが、さまざまな点で違いがあります。どちらにしようか迷われている方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。費用や寿命以外の面についても、両者の違いをわかりやすくご説明します。当院はオールオン4と総入れ歯の両方に対応している歯科医院ですので、患者さんに最適な治療法をご提案いたします。