インプラント治療が怖いといわれる理由とは?その恐怖心を軽減させる方法を解説
インプラントが優れた治療法であることはわかっていても、トラブルやリスク、痛みなどが怖くてなかなか一歩踏み出せない人も多いようです。確かにインプラント治療は、従来法の入れ歯・ブリッジとは異なる点が多々あるため、不安や恐怖心を抱いてしまう気持ちもよく理解できます。また、インプラント治療に対して、漠然とした恐怖心を持っている方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、インプラント治療が怖いといわれる理由と、恐怖心を軽減させる方法について詳しく解説します。
インプラント治療が怖いといわれる理由
世間でインプラント治療が怖いといわれる理由としては、次の9点が挙げられます。
怖い➀外科手術がある
インプラント治療が怖いと感じる人の多くは、外科手術への不安感があります。顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込む手術では、歯茎をメスで切開したり、ドリルで骨に穴を開けたりするなどの処置が必要となります。そうした外科手術への不安感が恐怖心へと変わり、インプラント治療から遠ざけてしまっているようです。実際、外科手術に伴うリスクをゼロにすることは不可能なので、それに対する不安感や恐怖心も完全に拭うことはできません。ただし、静脈内鎮静法などを実施することで、不安感や恐怖心を軽減することは可能です。
怖い②インプラントに馴染みがない
インプラントは比較的新しい歯科治療です。近年、日本でもかなり普及してきてはいますが、まだインプラントに馴染みがないという方も多いことでしょう。馴染みのないものに対しては、誰しも不安感や恐怖心を持ってしまいます。ただ、インプラント治療が日本で始まったのが1983年なので、もうすでに半世紀近く経過していることを考えると、信頼できる歯科治療と捉えても良いのではないでしょうか。
怖い③歯科医院・医師に対するイメージがよくない
昔から歯科医院は「痛い思いをするところ」というイメージがあるため、歯科医師・歯医者と聞くだけでも拒絶反応を示してしまう人もいらっしゃいます。そこに、外科手術が必須となるインプラントのネガティブなイメージが重なると、より一層、怖いという感覚が強くなることでしょう。
怖い④年齢的な不安
インプラント治療で年齢的な不安を抱える人は、若年者と高齢者の2つに分けられます。若年者に関しては「若いうちからインプラントをするのは恥ずかしい」という感情が生まれ、高齢者は「手術に耐えられるか心配」という健康への不安からインプラント治療が怖いと感じるようです。現実的には、20歳前後や80歳を超えてからインプラント治療を受ける人はたくさんいらっしゃいます。
怖い⑤治療費が高くなりそう
インプラント治療は、費用面においても不安を感じる人が多いようです。保険が適用されず、専門性の高い処置が必要となる治療だけに、費用も高額になるイメージが強いのでしょう。実際、インプラント1本当たりの費用は300,000~400,000円が全国的な相場となっているため、従来のブリッジや入れ歯と比較した場合は、治療費が高くなります。
怖い⑥長持ちしなさそう
インプラントでは、さまざまなトラブルによって装置の寿命が縮まる場合があります。とはいえ、一般的な症例では少なくとも10年以上、長ければ40年以上持つこともあるくらいなので、インプラントは長持ちしなさそうというのは、少し偏った見方と言わざるを得ません。保険で作った入れ歯は4~5年で寿命を迎えるといわれていますから、インプラントだから装置が長持ちしないというのはまずありえないでしょう。ただし、治療後のメンテナンスを怠ると、保険の入れ歯やブリッジより長持ちしなくなることもありますので、その点はご注意ください。
怖い⑦手術の痛み・腫れ
インプラント手術後に現れる痛みや腫れが怖いというお気持ちはよく理解できます。術中は麻酔が効いているので痛みを感じることはありませんが、術後はそれなりの痛みと腫れが現れます。治療後の腫れがどのくらいになるからは、手術を担当した歯医者の腕や採用した治療法によっても大きく変わります。とはいえ、インプラント治療では必ず術後に痛み止めと腫れ止めが処方されますので、それらを歯医者の指示通りに服用すれば、極端な症状が現れることも少なくなります。
怖い⑧インターネット上の声
インターネット上の口コミや感想を読んで、インプラント治療が怖いと感じる人は意外に多いものです。インターネット上では、インプラント治療で失敗した体験談やトラブルなどが理由も含めて強調されていることもあり、ネガティブな印象を持ちやすくなっているのでしょう。経験者による感想を見聞きすることはとても大きなメリットとなりますが、偏った情報ばかり頭に入れてしまうと、適切な判断が下せなくなることもありますので、その点は十分にご注意ください。
怖い⑨実際に起きたトラブル
過去には、インプラント治療でトラブルが起きた例もいくつかあります。とくにメディアでも報道されるような大きなトラブルがあると、「インプラント治療は怖いもの・危険なもの」という認識が固定されてしまいますよね。現実として、不適切なインプラント治療を実施する歯科医院は少なからず存在していることから、歯医者選びは慎重に行う必要があるといえるでしょう。
インプラント治療に対する恐怖心を軽減させる方法
インプラント治療に対する恐怖心が強い人は、以下に挙げる9つの方法を実践してみてください。インプラントが怖いという気持ちが和らぐとともに、より精度の高い治療を受けることも可能となります。
方法①治療前にカウンセリングを受ける
インプラント治療に対する恐怖心や不安感がある人は、カウンセリングでそのことをしっかり伝えましょう。信頼できる歯医者なら、カウンセリングの段階でそうした心理面の不安要素をていねいに取り除いてくれます。インプラント治療に伴うリスクやデメリットもきちんと説明した上で、トラブルを回避する方法や痛みを軽減する手段も提案してくれることでしょう。
方法②インプラント治療の流れを把握する
前段で取り上げた「インプラントが怖いといわれる理由」の大半は、治療の流れを正確に把握するだけでも解消されます。インプラント治療にかかる期間や費用、手術内容などを知ると、漠然とした不安や恐怖心も嘘のように和らぐことでしょう。ちなみに、インプラント手術で人工歯根を埋入する処置自体は30分以内に終わり、施術全体でも1~2時間程度で完了します。手術の前後で入院する必要もないため、皆さんが想像しているよりも気軽に受けられる治療法なのです。
方法③静脈内鎮静法を検討する
インプラント手術中の痛みは、麻酔を作用させることで取り除くことができますが、それでも不安感が拭えない、手術がどうしても怖いという方は、静脈内鎮静法を検討されてみてはいかがでしょうか。静脈内鎮静法とは、腕の静脈から鎮静剤を投与する麻酔処置で、半分眠ったような気分のまま手術を受けられます。静脈内鎮静法を併用した治療に対応しているかどうかは歯科医院によっても異なりますが、インプラント手術へのネガティブなイメージが強い人にはおすすめですので、カウンセリングを受ける際に相談してみましょう。
方法④手術後もカウンセリングを受ける
インプラント治療のカウンセリングは、手術前だけでなく、手術後も受けることが大切です。インプラント手術後は、顎の腫れや痛みが生じるため、歯科医師の指示した通りに薬を飲み、安静に過ごす必要があります。チタン製の人工歯根と顎の骨とが結合するまでにはそれなりに長い期間を要するため、アバットメントや上部構造を取り付けるまでの間の過ごし方や注意点についても、きちんと聞いておかなければなりません。すべての処置が終わった後のメンテナンスも継続的に受けるようにしましょう。
方法⑤インターネット上の声を鵜呑みにしない
インターネット上に流れている情報は、必ずしも正しいとは限りません。インプラント治療では、辛い思いや怖い思いをした人の意見が強調されたような形で掲載されていることも珍しくないからです。もちろん、インプラントにもデメリットはありますが、術後のリスクや失敗する可能性などは、歯科医師の口から聞いた方が正確な情報が得られることでしょう。
方法⑥豊富な実績を持つ歯科医院を選ぶ
インプラントへの不安や恐怖は、ご自身にとって未知の治療法である点が大きく関係しています。インプラントがそもそも先進的な医療なので、そうした感情を抱くのも当然ですが、歯科医師まで経験が浅かったら、この治療法への不安や恐怖は解消されないでしょう。手術中に体調が悪くなったらどうなるのか。万が一、失敗したらこの歯科医院でリカバリーできるのかなど、不安要素を考え出したらきりがなくなります。これは従来法の入れ歯やブリッジには伴わない悩みですね。そんな時、豊富な実績を持つ歯科医院なら、インプラントに関するあらゆる疑問に答えてくれますし、万が一、トラブルが発生したとしても適切に対処してくれることでしょう。
方法⑦インプラント治療は特別なものではないと知る
インプラントは歯科治療で唯一、人工歯根から回復できる治療法であり、画期的な技術であることに間違いはないのですが、過剰に特別視する必要はありません。とくにインターネット上の信憑性に欠ける情報を鵜呑みにすると、インプラントという素晴らしい治療を受ける機会を逃してしまうこともあり得ます。ちなみに、インプラントには「10年生存率」という有名な統計データがあり、治療を受けた人の90%以上が10年経過してもインプラントを正常なまま使い続けていることが分かっています。