インプラントと差し歯の違いとは?各々のメリット・デメリット・治療の流れも解説

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歯科コラム/2024年3月6日

インプラントと差し歯の違いとは?各々のメリット・デメリット・治療の流れも解説

人工歯を被せる治療法には、インプラントと差し歯があります。この2つは混同されやすいですが、実際はまったく異なる治療法と言っても間違いではありません。
ここではそんなインプラントと差し歯の違いやそれぞれのメリット・デメリット、治療の流れなどを詳しく解説します。

インプラント治療と差し歯治療

インプラント治療とは

インプラント治療とは、何らかの理由で失った歯を歯根から再生する治療方法です。歯が抜けた部分に、フィクスチャーと呼ばれるチタン製の人工歯根を埋め込みます。最後は上部構造と呼ばれる人工歯を装着することから、天然歯そっくりに仕上げることが可能です。

差し歯治療とは

差し歯治療は、天然の歯に被せ物やクラウンなどとも呼ばれる人工歯を装着する治療方法です。インプラント治療とは異なり、最低でも天然の歯根が残っていなければなりません。つまり、天然の歯根に差し込んで装着することから、差し歯と呼ばれるようになったのです。差し歯の素材は、レジンやセラミック、金属など、いろいろなものが用いられます。

インプラントと差し歯の違い

違い①費用

費用面においては、インプラントと差し歯で大きな違いが見られます。そもそもインプラントには保険が適用されず、自由診療となりますのでその点はご注意ください。一方、差し歯には保険適用されるため、費用を比較的安く抑えられるのです。それぞれの費用相場は以下の通りです。

インプラントの費用相場

インプラント治療は、1本あたり300,000~500,000円程度が一般的な費用です。これは世界的にもメジャーなインプラントシステムの費用なので、マイナーなインプラントを選んだ場合はもう少し安くなることがあります。ただし、費用の安いインプラントは、実績が乏しく、安全性や確実性が保証されていないことから、広く推奨できるものではありません。

差し歯の費用相場

差し歯治療を保険適用で受けた場合は、1本あたり3,000~8,000円程度の負担にとどまります。これは保険の3割負担を想定した場合に患者さんが実際に支払う金額です。差し歯で自由診療を選択した場合は、1本あたり50,000~200,000円程度の費用がかかります。費用相場に大きな幅があるのは、人工歯の素材で値段が大きく変わるからです。

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違い②治療期間

インプラントには、人工歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込む外科手術を伴うため、治療期間が比較的長くなっています。標準的なインプラント治療を想定した場合は、3~6ヵ月程度の期間を要します。不足している骨を補う骨造成などを伴う場合は、全体で1年程度の期間を要することも珍しくありません。一方、差し歯治療は、1~2ヵ月で終わるのが一般的です。もともと天然の歯根が残っている差し歯治療は、人工歯を被せるだけなので、それほど長い期間がかからないのです。

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違い③寿命

寿命という観点では、差し歯よりもインプラントの方が優れています。ただし、自由診療で装着した差し歯の場合は、インプラントの寿命と大差はないことでしょう。それぞれの装置の寿命の目安いは以下の通りです。

  • インプラント:10~15年以上
  • 差し歯(保険):6~8年程度
  • 差し歯(自費):10~15年程度

インプラントに関しては、治療後のメンテナンスとセルフケアをしっかりと継続させていけば、15年以上使い続けることも難しくはありません。実際、過去には40年程度、インプラントを使い続けた症例があるのです。

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違い④メンテナンス

インプラントは、メンテナンスが必須の治療法です。治療後のメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎にかかったり、装置が故障したりするため十分な注意が必要といえます。差し歯は、天然の歯根に人工歯を被せるシンプルな治療法なので、インプラントほど、きめの細かいケアやメンテナンスは必要ありません。

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違い⑤見た目

インプラントと差し歯の見た目は、人工歯の素材によって変わります。インプラントではほとんどのケースでジルコニアやセラミックを用いることから、見た目は天然歯そっくりです。保険適用の差し歯では、レジンや金属などを用いるため、見た目はインプラントに劣ります。自由診療の場合は、インプラントと同じような素材を使用できるので、見た目に大きな違いはないといえるでしょう。

インプラントのメリット・デメリット

インプラント治療には、次に挙げるようなメリットとデメリットを伴います。

メリット
  • 見た目が自然で美しい
  • 天然歯のようにしっかり噛める
  • 周りの歯を削る必要がない

インプラントは、失った歯を歯根から再生できる治療法です。そのため、歯根のない入れ歯やブリッジよりも見た目が自然で美しいです。噛み心地も天然歯に近いといえるでしょう。周りの歯を削ったり、残った歯に大きな負担をかけたりするようなこともありません。

デメリット
  • 治療にかかる費用が高い
  • 治療にかかる期間が長い
  • 外科手術が必要
  • メンテナンスを怠ると装置の寿命が縮まる

インプラント治療には、チタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込む外科手術が必須です。そのため、費用が高く、治療期間も長くなるというデメリットを伴うのです。また、インプラントは歯根から歯冠まですべてが人工物で構成されていることから、治療後の定期的なメンテナンスを欠かせないというデメリットも伴います。

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差し歯のメリット・デメリット

差し歯治療には、次に挙げるようなメリットとデメリットを伴います。

メリット
  • 治療期間が比較的短い
  • 治療費が安い
  • 外科手術が不要

差し歯治療にかかる期間は、短ければ2~3週間、長くても1~2ヵ月程度となっています。保険診療を選択すれば、数千円の負担で差し歯を作れます。差し歯治療では、天然歯の歯根が残っていることが前提であることから、人工歯根を埋め込む外科手術も不要です。

デメリット
  • 保険の差し歯は見た目が良くない
  • 自費の差し歯は費用が高い

差し歯は、保険適用を選択した場合にデメリットが目立つようになります。なぜなら保険の差し歯では、主に歯科用プラスチックであるレジンや銀色の金銀パラジウム合金を使うことになるからです。これらは自由診療で使用できるセラミックより審美性が低くなっています。もちろん、自由診療を選択することで審美面のデメリットは解消できますが、その場合は費用が高くなってしまいます。素材によっては差し歯1本あたり200,000円程度の費用がかかる場合もあるのです。

インプラント治療と差し歯治療の流れ

インプラント治療と差し歯治療は、治療の流れも大きく異なります。それぞれの治療の流れは以下の通りです。

インプラント治療の流れ

  1. カウンセリング
  2. 検査・診断
  3. 前処置・事前治療
  4. 人工歯根の埋入手術(1次手術)
  5. 治癒期間
  6. アバットメントの装着(2次手術)
  7. 人工歯(上部構造)の装着
  8. メンテナンス

インプラントでは、施術する部位の周囲に虫歯や歯周病などの異常が見つかった場合、先にそれらの治療を行うことがあります。これが上記の前処置・事前治療に該当します。骨が足りない場合の骨造成もこれに含まれます。1回目の外科手術では人工歯根であるフィクスチャーを埋め込み、3~6ヵ月の間、顎骨と結合するのを待ちます。2回目の外科手術では、上部構造の土台となるアバットメントを装着します。最後は人工歯を装着して治療は終了です。

差し歯治療の流れ

  1. 虫歯になっている歯質を削る
  2. 歯の神経を抜いて根管内を無菌化する
  3. 差し歯の土台を作る
  4. 差し歯を装着する

差し歯の治療では、はじめに必ず虫歯菌に侵された歯質を削ります。歯の神経まで感染が広がっていない場合は、そのまま差し歯の製作・装着へと進むことができます。歯の神経まで感染が広がっているケースでは、抜髄(ばつずい)と根管治療が必要となります。根管治療が終わったら、差し歯を装着して終わりです。

まとめ

今回は、インプラントと差し歯の違いについて解説しました。インプラントは、歯を丸ごと1本失った症例が対象となる治療法なので、天然歯の歯根が残っている歯が対象となる差し歯とは根本的に異なります。本文でも比較したように、費用、治療期間、寿命、メンテナンス、見た目という5つの観点からも大きな違いが見られる治療法なので、その点は正しく理解しておく必要があります。ごく稀にではありますが、インプラントと差し歯のどちらにすべきか迷うケースも存在しています。そうしたケースでは、それぞれの治療実績が豊富な歯科医師に相談することが大切です。