喫煙によって引き起こされるインプラントへの悪影響とは?
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喫煙は、お口の健康を著しく害します。とくに顎の骨に人工歯根を埋め込むインプラント治療においては、深刻な悪影響が及ぶため十分な注意が必要です。今回はそんな喫煙によって引き起こされるインプラントへの悪影響について詳しく解説します。
インプラントと喫煙
インプラントは、失った歯を歯根から回復できる治療法です。チタン製のネジを顎の骨に埋め込み、人工歯を装着することで、見た目も噛み心地も天然歯に近い状態にまで戻せます。ただし、人工歯根の周りには「歯根膜(しこんまく)」という血管や神経からなるやわらかい組織がないため、本物の歯よりも感染症などに弱くなっています。そこに喫煙という習慣が加わると、歯茎や顎の骨の感染リスクが大きく上昇します。その結果、顎の骨が破壊されてインプラントが脱落してしまうケースも珍しくありません。
実際、インプラント治療の失敗率は、非喫煙者よりも喫煙者の方が10パーセントほど高くなるというデータも存在しています。それくらいタバコの煙は、歯茎・顎の骨に多大な悪影響をもたらすことがあるため、今現在、喫煙をしていてインプラント治療を検討されているのであれば、積極的に禁煙した方が良いといえます。インプラント治療が失敗する原因は、少しでも減らしておきたいですからね。
では次に、喫煙によってどんな悪影響が及ばされるのか見ていきましょう。
喫煙によって引き起こされるインプラントへの悪影響
タバコを吸う習慣があると、インプラントの施術部位に以下のような悪影響が生じます。
悪影響①感染症のリスクが高くなる
タバコは、免疫力の主体となる白血球の働きを悪くします。その結果、細菌への抵抗力が低下し、感染症のリスクが高まります。インプラント治療の術中・術後の感染リスクを低減するためにも禁煙もしくは減煙が望まれます。感染症の種類によっては、単にインプラントの結合が失敗するだけでなく、全身に深刻な症状をもたらすこともあるため、十分な注意が必要です。
悪影響②歯周病やインプラント周囲炎になる可能性が高くなる
喫煙者であれば実感することかと思いますが、タバコを吸っているとお口の中が乾燥します。本来は唾液によって湿度が100パーセントに保たれている口腔は、乾燥すると細菌の活動が活発化します。これは唾液の減少によって抗菌作用・殺菌作用・自浄作用が弱まるからです。そうした中で歯周病菌が繁殖すると、歯茎や顎の骨に炎症をもたらす歯周病・インプラント周囲炎になる可能性が高まります。歯周病は、インプラント治療が失敗する主な原因となっているため、予防するに越したことはありません。
悪影響③インプラントと骨の結合が上手くいかなくなる
タバコの煙には、血管を収縮させるニコチンが含まれています。血管収縮によってインプラントを埋め込んだ周囲の骨の血行が悪くなると、チタン製のネジと顎骨の結合が上手くいかず、インプラント治療が失敗に終わることもあります。さらにタバコの煙には、顎の骨への酸素供給を妨げる一酸化炭素も含まれており、手術後の傷の治りも悪くするのです。
インプラント治療後に行った方がいいケア
インプラント治療後には、以下の2つのケアを実践するようにしましょう。
ケア①歯磨きの徹底
インプラントは、天然歯よりも汚れがたまりやすくなっているため、正しい方法で毎日歯磨きする必要があります。慣れるまでには少し時間がかかるかと思いますが、歯科医院で習ったブラッシング法で、プラークフリーな状態を維持するよう努めましょう。とくに人工歯である上部構造とアバットメントの境目付近は天然歯と異なる造りとなっており、徹底したセルフケアが必須となります。その部分に歯垢・歯石が堆積すると、歯周病菌が繁殖して歯茎・顎の骨に炎症をもたらします。
ケア②歯科医院で定期的なメンテナンス
インプラントを長持ちさせるためには、セルフケアの徹底だけでなく、プロフェッショナルケアを受けることも重要です。いわゆるインプラントのメンテナンスでは、専用の器具を使ったインプラント周囲の洗浄や消毒、クリーニングなどを受けられます。セルフケアでは取り除くことができない汚れを一掃しましょう。最初の年は3~4ヵ月に1回くらいの頻度でメンテナンスを受けると良いでしょう。定期的なメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎のような歯周病にかかり、再度手術が必要となる可能性も出てきます。