インプラントのメンテナンスの費用相場・寿命・必要な理由等を解説

> 高田馬場駅前デンタルクリニック > インプラントのメンテナンスの費用相場・寿命・必要な理由等を解説

歯科コラム/2023年2月13日

インプラントのメンテナンスの費用相場・寿命・必要な理由等を解説

インプラントを長持ちさせるためには、治療が終わった後のメンテナンスをしっかり受ける必要があります。せっかく苦労して入れたインプラントですから、少しでも寿命を延ばして、快適に噛める状態を維持したいものです。そこで今回は、インプラントのメンテナンスが必要な理由や寿命、費用相場について、詳しく解説します。

インプラントのメンテナンスが必要な理由

インプラントでメンテナンスが必要な理由としては、以下の2つが挙げられます。

理由①長持ちさせるため

インプラントは、見た目も噛み心地も天然歯にそっくりな装置です。治療後は自分の歯が戻ったと感動される方も少なくありません。けれども、インプラントはあくまで人工物であり、本物の歯とまったく同じようなケアをしていては、さまざまな不具合が生じてしまいます。そうしたトラブルを回避して長持ちさせるためにも、定期的なメンテナンスが必要となっています。

理由②インプラント周囲炎の予防のため

インプラントは、人工歯である上部構造とアバットメントの境目付近に汚れがたまりやすくなっています。そこに歯垢・歯石が堆積すると、細菌が繁殖して「インプラント周囲炎」を発症します。インプラント周囲炎とは、インプラント特有の歯周病です。一般的な歯周病よりも進行が早く、顎の骨がどんどん破壊されていきます。その結果、人工歯根と顎骨との結合が失われ、インプラントが寿命を迎えてしまうのです。定期的なメンテナンスを受けていれば、インプラント周囲炎も効率よく予防できます。

インプラントの寿命

インプラントは、人工歯根を埋入してから10年経過しても、90~95%が問題なく使い続けられています。一般的な寿命としては、10~15年程度といわれていますが、メンテナンスをしっかり継続して歯茎や顎の骨の状態を良好に保てば、その寿命を20年、30年と延ばすことも難しくはありません。一方、保険診療で作る入れ歯は3~5年程度、ブリッジは7~8年程度で寿命を迎えると言われており、インプラントがいかに長持ちしやすい装置であるかをおわかりいただけるかと思います。

インプラントのメンテナンスの費用相場

インプラントのメンテナンスを定期的に受けるのは良いとしても、費用がどのくらいかかるのかが気になりますよね。インプラントは原則として自費診療となるため、メンテナンス費用も歯科医院のよってバラつきがありますが、全国的には1回あたり3,000~10,000円に設定しているところが大半を占めます。ちなみに、インプラントの「5年保証」や「10年保証」は、定期的なメンテナンスを受けていることが前提条件となっています。つまり、インプラントのメンテナンスを怠ると、トラブルに見舞われた際の費用が全額自己負担となってしまうので、注意が必要です。

医療費控除の対象になるメンテナンス費用

インプラント治療では、人工歯の埋入や上部構造の製作にかかった費用だけでなく、メンテナンス費用も医療費控除の対象となります。インプラントのメンテナンスは治療後も数年単位で続けていくものなので、翌年や翌々年も1年間で支払った医療費が100,000円を超える場合は、忘れずに申請しましょう。

インプラントのメンテナンスの頻度

インプラントのメンテナンスは、お口の中の状態によって通院頻度が変わっていきます。そのため、厳密な頻度は主治医と相談しながら決めていく必要がありますが、一般的には最初の年で3ヵ月に1回、翌年から4~6ヵ月に1回くらいの頻度でメンテナンスを受けることになります。毎月通院しなければならないことはまずありませんのでご安心ください。

インプラントのメンテナンスの流れ

インプラントのメンテナンスは、以下の流れで進行します。

流れ①お口の中の状態チェック

まずはお口の中のチェックです。インプラントの周囲はしっかり磨けているか、歯茎に腫れや出血などは認められないか、上部構造に破損は見られないか等を肉眼で診査します。異常が認められた場合は、治療が必要となることもあります。

流れ②噛み合わせの確認

インプラントの寿命を長持ちさせる上で、噛み合わせの状態は非常に重要となります。噛み合わせが高すぎると、インプラントに過剰な力が加わってしまうからです。そこで咬合紙という赤や青の色が付いたシートを噛んでいただき、適切な状態で噛めているかをチェックします。強く当たっている部位は色が濃く現れます。シートの塗料がまったく付着していない部位は、噛んでいないことを意味します。理想は歯列全体で均等に噛めている状態ですが、現実的にそれは難しいため、インプラントに過剰な力がかからない程度に調整を加えます。

流れ③レントゲン検査

肉眼では確認できない顎の骨や人工歯根の状態をレントゲン撮影で検査します。インプラント周囲炎や上顎洞炎などの深刻な症状も調べられます。レントゲン撮影に関しては、被ばくを心配される方も多いかと思いますが、年に数回のメンテナンス程度であれば、健康被害が及ぶリスクは皆無に等しいです。そもそも、歯科のレントゲンはお口だけにエックス線を照射するものなので、全身への影響も微々たるものとなっています。

流れ④ブラッシング指導

インプラント周囲の清掃状態をチェックした上で、磨き残しの多い部位のブラッシング方法をレクチャーします。自宅での歯磨きは、インプラントの寿命を延ばす基本となるため、正しい方法を身に付けることが大切です。インプラントは虫歯になることはありませんが、歯周病のリスクは天然歯より高いことを忘れてはいけません。

流れ⑤PMTC

インプラントのメンテナンスでは、PMTCという歯科のクリーニングを実施します。セルフケアでは落とせない歯石やバイオフィルムまで一掃できる処置なので、定期的に受ける価値は非常に高いです。スクリュー固定のインプラントでは、人工歯である上部構造を一時的に外してクリーニングすることもあります。いずれも歯科医院でなければ受けられない処置となっています。

まとめ

今回は、インプラントのメンテナンスが必要な理由や費用相場、寿命について解説しました。インプラントのメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎や装置の破損に気付くのが遅れて、寿命を大きく縮めてしまうことも珍しくありません。また、メンテナンスを受けていないとインプラント保証が受けられなくなるため、十分にご注意ください。インプラントのメンテナンスは、最初の年でも3ヵ月に1回程度受ければ良いので、負担もそれほど大きくはないかと思います。翌年からは年に2~3回受ければ十分となりますよ。