おすすめのインプラントメーカーを紹介:メーカーの選び方等も解説
失った歯を歯根から回復させるインプラントには、たくさんの種類があることをご存知でしょうか?日本国内では30種類以上、世界では100種類以上のインプラントシステムが流通しており、各メーカーによって使用している素材や規格、メンテナンスの方法などが異なります。それだけにインプラントメーカー選びは慎重に行う必要があるといえます。ここではそんなインプラントメーカーの選び方やインプラントの種類について、わかりやすく解説します。
インプラントメーカーの選び方
インプラントメーカーを選ぶ際には、以下の2点に着目しましょう。
選び方①他の歯科医院でメンテナンスができるかどうか
インプラントは、寿命がとても長い装置です。保険診療の入れ歯は4~5年くらいしか持ちませんが、インプラントは10年以上使い続けられるケースがほとんどです。メンテナンスをしっかり受けることで、その寿命を15年、20年と延ばし続けることも難しくありません。
ただ、使用期間がそれだけ長期に及ぶと、患者さまのライフスタイルも大きく変わる場合もあるかもしれませんよね。例えば、仕事の都合で転居する方もいらっしゃるでしょう。そんな時に「転院しやすい」ことがインプラントメーカーを選択する上で重要なポイントとなります。つまり、全国的にも広く普及しているインプラントメーカーの方が転院先を見つけやすく、メンテナンスを継続しやすいといえるのです。
選び方②実績があるかどうか
今現在、世界で使用されているインプラントは、歴史が深いものから浅いものまでさまざまです。一見すると同じように見えても、治療によって得られる効果や仕上がりの良し悪しには雲泥の差が生まれることも珍しくありません。そこで是非とも着目していただきたいのが「実績」です。
最初に実用化されたインプラントは、もうすでに50年以上の歴史があります。その間、たくさんの実績を積み、改良に改良を重ねてきたインプラントシステムは、自ずと精度も高くなります。その結果、治療の安全性が高まると同時に、より美しく、噛みやすく、長持ちするインプラントを提供することが可能となるのです。そうした歴史の深い、実績のあるインプラントシステムなら、全国的にも広く普及しており、転居先での歯科医院探しに苦労することもなくなります。
広く普及しているおすすめのインプラントメーカー
インプラント治療で失敗しないためには、広く普及しているインプラントメーカーを選ぶことが大切です。ここでは、世界で長年トップシェアを誇っている「世界3大インプラントメーカー」をご紹介します。
おすすめ①ノーベルバイオケア社
世界で初めてデンタルインプラントを実用化したのは、スウェーデンのブローネマルク教授です。最も有名なインプラントである「ブローネマルクシステム」は、インプラントの生みの親から名前をとっているのです。その歴史は50年以上にも及び、これまで積み重ねてきた実績は、他のインプラントメーカーを圧倒しています。
インプラントの構造や形状、表面処理の方法なども洗練されており、さまざまな症例に適応可能です。ノーベルバイオケア社のインプラント治療後には「ペイシェントカード」が発行され、充実したアフターケアを受けられる点も魅力のひとつです。ペイシェントカードには、インプラントのサイズやロットナンバーなどが記載されており、他院でメンテナンスや緊急的な処置を受ける際に役立ちます。
おすすめ②ストローマン社
ストローマン社は、ノーベルバイオケア社に次に歴史が深いインプラントメーカーです。世界的なシェアも高く、日本国内でも人気があります。それはストローマンインプラント(ITI)の表面に微細な凹凸があり、骨と結合しやすくなっているからです。日本人の顎の骨は海外の人と比較すると薄いため、インプラントの定着が悪いことが多いです。ストローマンインプラントは、そうした日本人の顎に向いているインプラントシステムといえます。
おすすめ③デンツプライ社
デンツプライ社も世界3大インプラントに数えられるメーカーですが、他の2社と比較して、費用がやや安い点が特徴となっています。もちろん、歴史と実績があり、品質は折り紙付きです。そのため世界でも広く使用されており、これからも長く使い続けられることでしょう。
インプラントにまつわる様々な種類
ここまでは、おすすめの「インプラントメーカー」についてご紹介してきましたが、ここからは「インプラントの種類」についての解説となります。
メンテナンスや修理の際に、インプラントの構造が影響することがありますので、「構造」「材料」「表面処理」「形状」の4つの観点から、わかりやすくご説明します。
種類①構造
インプラントの構造は、「2ピースタイプ」と「1ピースタイプ」の2つに大きく分けられます。「2ピースタイプ」では、人工歯根であるインプラント体と連結装置であるアバットメントが別々になっています。それを治療の過程で連結します。「1ピースタイプ」は、それらが一体化しているもので、手術が単純化されるというメリットがある反面、アバットメントに不具合が生じた際には、インプラント体ごと撤去しなければならないというデメリットも伴います。2ピースタイプであれば、アバットメントのみを撤去して修理することが可能です。
種類②材料
人工歯根に当たるインプラント体(=フィクスチャー)に「チタン」が用いられているのは有名な話ですよね。ただ、ひと言でチタンと言っても、実際はいくつかの種類に分けられます。
◎純チタン
純チタンは、純粋なチタンであり、その他の金属材料が含まれていません。顎の骨との結合性が最も高く、インプラント体の素材として適性も高いです。
◎チタン合金
チタンをメインに、その他の金属を混合した材料です。純チタンと同様、顎の骨との結合性は高くなっています。
◎チタン・ニッケル合金
いわゆる“形状記憶合金”で、成形しやすいのが特徴です。純チタンやチタン合金と比較すると、顎の骨との結合性は劣ります。
種類③表面処理
インプラント体には、さまざまな表面処理が施されます。多くの場合は、いずれかひとつではなく、いくつかを組み合わせて仕上げます。
◎ブラスト処理
インプラント体表面の酸化膜を除去して粗面に加工する処理です。顎の骨との結合力を向上させます。
◎酸処理
ブラスト処理によって生じたブラスト材を洗浄するために行います。
◎酸化処理
インプラント体に「酸化チタン」を付与することで、表面に凹凸が形成され、骨との結合力を高めます。
◎機械研磨処理
機械的研磨によって余計な凹凸を取り除き、顎の骨と接触しやすい形状に整えます。
種類④形状
インプラント体の形状は、以下の4つに分けられます。
◎スクリュータイプ
最もスタンダードな形状のインプラント体です。ネジのような形態を採っており、ドリルで回転させながら顎の骨に埋め込みます。
◎シリンダータイプ
円筒形のインプラント体で、ネジのらせんがないため、顎の骨にはハンマーで槌打しながら埋め込みます。スクリュータイプほどではありませんが、現在でも広く使用されています。
◎バスケットタイプ
外観はスクリュータイプに似ていますが、中が空洞となっている点が大きく異なります。空洞に骨が入り込むことで高い結合力を発揮するものの、インプラント体の強度が低いことから折れやすく、現在はあまり使用されなくなっています。
◎ブレードタイプ
文字通りアイススケートのブレード(刃)のような形をしたインプラント体です。インプラント体の一部に力が集中しやすく、破損や骨吸収を招きやすいという欠点があり、現在ではほとんど使われていませんが、歯科医院には、過去にブレードタイプで治療した患者さまが来院されることはあります。