インプラントの治療期間は平均どれくらい?治療の流れ等も解説
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インプラントは、ブリッジ(失った歯の両隣の歯を削り、その歯を土台として利用する被せ物のこと)や入れ歯といった従来の治療法とは異なる点があるため、治療期間がどのくらいかかるのかイメージしにくいですよね。インプラントの治療期間は長いという話はよく耳にするものの、平均はどのくらいなのか知りたいことでしょう。
今回はそんなインプラントの治療期間の平均や治療の流れなどをわかりやすく解説します。
インプラントの治療期間の平均
インプラントは、歯を削って型取りをし、人工歯を装着するようなシンプルな治療ではありません。なぜなら、従来法にはない「人工歯根の埋入」というプロセスが入ってくるからです。
歯ぐきをメスで切開し、あごの骨に穴を開けてチタン製のネジを埋め込む手術を伴うため、自ずと治療期間も長くなります。しかも、人工歯根があごの骨と結合するまで数ヶ月待たなければならないのです。
3~12ヶ月が平均
上記の理由から、インプラント治療の治療期間は平均3~12ヶ月となっています。
治療期間の平均にかなりの幅があることに驚かれる方も多いことでしょう。これは人工歯根を埋め込む位置や本数、患者様の歯周組織の状態によって、治療法などが変わるからです。
歯槽骨が不足していると、事前に歯周組織再生療法などが必要となり、治療期間も長くなります。
インプラント治療の流れ
標準的なインプラント治療は、以下の流れで進行します。
流れ①治療計画と精密検査
まずは、カウンセリングにて患者様のご要望等をお伺いします。お口のことで困っていることなどもお話ください。続いて、種々の検査を実施して、歯ぐきやあごの骨の状態を精密に調べます。
インプラント治療で特に重要なのが歯科用CTによる撮影です。チタン製のネジを安全かつ確実に埋入するために、三次元的な情報を入手します。そうした精密検査の結果をもとに治療計画を立案して、患者様にご説明します。治療方法や治療費用など、疑問や不安に感じることは何でもお尋ねください。患者様に心からご納得いただけるまで治療は開始しません。
流れ②事前治療
検査の結果、歯周病などが見つかった場合は、それらの治療を優先します。歯ぐきの状態が正常にならないと、インプラント治療を行うことができないからです。お口の中に問題がなければ、事前治療は実施する必要はありません。
流れ③人工歯根埋入手術
あごの骨にチタン製の人工歯根を埋め込む手術です。インプラント手術には1回法と2回法があり、患者様のお口の状態によってどちらかを選択します。その名の通り手術の回数が変わることから、治療期間も選択した手術法で変動します。
2回法
インプラント手術の2回法は、1回目の手術で人工歯根のみを埋め込みます。傷口はいったん塞いで、
人工歯根とあごの骨が結合するのを3~6ヶ月程度待ちます。
その後、アバットメントを装着する2回目の手術を実施します。アバットメントとは、人工歯根と人工歯を連結させるための装置です。
インプラント治療では現状、2回法が標準となっています。
1回法
1回法は、
人工歯根の埋入とアバットメントの装着を1回の手術で行う方法です。通院回数や手術時間などを短縮できるため、患者様にとってはメリットの大きい手術法となります
が、一部の症例にしか適応できないのが現実です。
あごの骨の状態が良好な場合に限り、検討することができます。
流れ④インプラントの定着期間
インプラント治療では、チタン製のネジとあごの骨が結合する「オッセオインテグレーション」という現象を待たなければなりません。あごの骨が比較的しっかりしている下顎なら3ヶ月程度、上顎なら6ヶ月程度の期間を要します。
2回法の場合は、1回目の手術の後にインプラントの定着期間を設けます。このインプラントの定着期間はすべてのケースで必要となります。
流れ⑤人工歯のセット
人工歯根があごの骨に定着したら、人工歯を製作します。型取りを行って上部構造と呼ばれる人工歯を作り、アバットメントに装着します。最後に噛み合わせの調整を行って治療は完了です。
ちなみに、インプラントでは定期的なメンテナンスが必須となっておりますので、治療後も数ヶ月に一度の通院は継続しましょう。
インプラント治療中は歯がない期間がある?
インプラント治療では、人工歯根とあごの骨が結合するまでの期間がかなり長く、その間、歯がない状態が続くのか不安に感じている方も多いようです。その点はご安心ください。
例えば、インプラント手術の2回法では、人工歯根を埋めたあとに「仮歯」を装着しますので、口元の見た目が悪くなる現象を防げます。
ただし、仮歯はあくまでの“仮の歯”であり、入れ歯のように噛むことはできません。仮歯の状態で噛むと、歯周組織の傷口が開いたり、人工歯根とあごの骨の結合が妨げられたりするため注意が必要です。
治療後は定期的なメンテナンスが必要
上述したように、インプラントは治療が終わったあともメンテナンスのために通院する必要があります。メンテナンスでは、歯ぐきやあごの骨、人工歯、インプラントの装着状態などを歯科医師がチェックします。メンテナンス自体はそれほど長い時間はかかりませんし、通院頻度も高くはありませんので、患者様の大きな負担になることも少ないかと思います。
しかし、インプラントのメンテナンスを怠ると、次のようなリスクが生じます。
インプラント周囲炎に要注意
インプラントは全てが人工物で構成されており、虫歯になる可能性はゼロです。しかし、その周りに存在している歯ぐきやあごの骨は生きた組織であり、歯周病にかかります。
とくに人工歯と人工歯根の境目には汚れがたまりやすく、「インプラント周囲炎」と呼ばれる歯周病リスクが高い点にご注意ください。メンテナンスを怠るとセルフケアでは取り除けない汚れが堆積し、インプラントの歯周病を発症してしまいます。