詰め物が取れる原因とは?取れた際の注意点や治療法を解説
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虫歯治療で歯を削った後には、インレーと呼ばれる詰め物を装着することがあります。詰め物はあくまで人工物なので、時間の経過や不適切な習慣などで取れる場合があるので要注意です。ここではそんな詰め物が取れる原因や取れた際の注意点・治療法をわかりやすく解説します。
詰め物が取れる原因
詰め物は、歯質に装着する際に、専用の接着剤やセメントを使用します。ですから、そう簡単に取れることはないのですが、次に挙げるような3点については十分注意しなければなりません。皆さんの詰め物が取れた場合は、おそらく以下のいずれかに該当するものと思われます。
原因①接着用セメントの劣化
詰め物の装着に使用した接着用セメントは、経年的に劣化していきます。とくに、保険診療で作ったメタルインレーの接着用セメントは、比較的劣化しやすく、詰め物が外れる原因になりやすいです。セメントは詰め物と歯質とをつなぎ合わせているものなので、それが劣化して接着力を失うと、自ずとインレーも外れてしまうのです。
ちなみに、セラミック使用する接着用セメントは、比較的劣化しにくく、長持ちする傾向にあります。そもそも歯質との適合性が高く、劣化しにくい環境にあるため、接着力も保ちやすくなっているのです。
原因②詰め物と歯の間に出来た虫歯
詰め物が取れる原因として意外に多いのが「虫歯の再発」です。詰め物と歯との間に虫歯ができると、歯質が溶かされますよね。その結果、詰め物とぴったり適合しなくなり、やがては外れてしまうのです。
そこで注意しなければならないのが治療後の口腔ケアです。詰め物を装着した歯はもともと虫歯のリスクが高く、適切な口腔ケア方法を身に付けなければ、再感染しても何ら不思議ではないのです。そのため、詰め物を装着したあとも定期的にメンテナンスやプロフェッショナルケアを受けることが大切です。そして何より、正しいセルフケアの方法を身に付ける必要があります。磨き残しが生じるようなブラッシングを行っていては、何度再治療しても虫歯を再発させてしまいます。定期検診でブラッシング指導を受けて、プラークフリーな状態を作れるように頑張りましょう。
原因③歯ぎしり・食いしばり
意外に思われるかもしれませんが、歯ぎしりや食いしばり、噛みしめといった習癖によって、詰め物が外れることもあります。とくにレジンはセラミックで作られた詰め物は、強い圧力によって欠けたり、ヒビが入ったりすることがあるため要注意です。歯ぎしり・食いしばりは、歯茎に炎症をもたらすこともあるため、できる限り早期に改善しましょう。
【原因④かみ合わせの変化
詰め物を装着してから、かなりの年月が経過してから見られる症状ですが、「かみ合わせの変化」によってもインレーの脱落が起こり得ます。もともと詰め物は、治療を受けた時のかみ合わせに合わせて調整されているので、全体の咬合状態が変化すれば、その影響を受けることもあります。
例えば、歯の摩耗というのは、加齢によっても起こるものであり、その結果としてかみ合わせが浅くなったり、一部の歯に過剰な負担がかかるようになったりします。詰め物を装着している部分にそうした力が集中すると、詰め物の破折や変形を招いて、歯質から脱落するのです。
詰め物が取れた際の注意点
詰め物が取れた際には、放置しないことはもちろん、次に挙げる4点にもご注意ください。
注意点①取れた詰め物を自分ではめ直さない
取れた詰め物は、自分ではめ直すようなことは絶対にやめてください。詰め物が外れている時点で、患者さまご自身がそのままの元に戻せることはありません。詰め物が取れた歯が虫歯になっている可能性は十分ありますし、インレーが変形しているなど、さまざまな問題が発生していることが予想されるからです。
また、詰め物を装着する際に使用するセメントは、歯科用に開発された特別なものです。市販の瞬間接着剤のようなもので代用はできません。一時的とはいえ、自分ではめ直してしまうと、再治療が難しくなることもありますので要注意です。
注意点②取れた詰め物は捨てない
取れた詰め物は、歯科医院で特別な処置を施すことによって、元に戻せる場合があります。ですから、取れた詰め物は捨てずに保管しておくようにしましょう。現実的にはそのまま元に戻せるケースの方が少ないのですが、取れた詰め物があると、再治療の際に重要な指標となります。詰め物にはいろいろな情報が詰まっており、歯質から取れた原因を突き止めたり、新たにインレーを作り直したりする際に重要な役割を果たします。
注意点③取れた詰め物をティッシュにくるんで保管しない
取れた詰め物は、適当にティッシュにくるんで置いておくと、間違って捨ててしまうおそれがあります。そのような失敗例は、数えきれないほどあります。詰め物が取れたらすぐにジップロックやプラスチックケースなどに入れて、しっかり保管しておきましょう。
注意点④早めに歯科医院へ受診する
詰め物が取れた際、絶対に行ってはならないのが「放置する」ことです。詰め物が取れた以上、その状態がどうであれ放置して良いことはありません。詰め物が取れた部分は、象牙質が露出しており、外からの刺激を受けやすくなっています。もしかしたらもうすでに虫歯を発症しているかもしれません。“痛みがないので問題ない”と自分で判断するのではなく、早めに歯科医院を受診しましょう。何もせず放置すると、虫歯の再発や虫歯の重症化、むき出しになった象牙質の破折などを招いてしまいます。
詰め物が取れた際のケース別治療法
詰め物が取れた場合は、原因によって治療法や対処法が異なります。ここでは最もポピュラーな4つのケースをご紹介します。
ケース①取れた部分が虫歯になっている
虫歯が再発して詰め物が取れた場合は、当然ですが虫歯治療からやり直します。虫歯になっている部分を削り、新たに修復物を作り直す必要があります。その際、削った歯質の量が多い場合は、詰め物ではなく被せ物を製作することになります。虫歯が重症化している場合は、根管治療も実施します。
ケース②詰め物が劣化している
詰め物を構成している素材自体が劣化している場合は、インレーを作り直す必要があります。詰め物を装着していた部分に何ら問題がなければ、すぐに型取りを行って、詰め物の製作に入れますが、形成のし直しなど、新たな処置を施さなければならなくなるケースも少なくありません。
ケース③接着用セメントが劣化している
接着用セメントの劣化で詰め物が取れた場合は、もしかしたらそのまま元の位置に戻せるかもしれません。歯質と詰め物の双方に何ら問題がないのであれば、改めて接着用セメントで結合させます。そうしたケースのために、取れた詰め物は大切に保管しておくようにしましょう。
ケース④全体のかみ合わせが変化している
全体のかみ合わせが変化することで詰め物がとれた場合は、修復物の再製作が必須となります。取れた詰め物をそのまま戻しても、今現在のかみ合わせと適合していないため、すぐにまた悪影響が生じます。新たに型取りを行って、詰め物を作り直すだけで済む場合もありますが、全体のかみ合わせを改善する治療が必要になることもあります。