詰め物・被せ物・歯の土台の種類:保険適用と保険外に分けて解説

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歯科コラム/2021年11月26日

詰め物・被せ物・歯の土台の種類:保険適用と保険外に分けて解説

虫歯治療を行った後には、失った歯質を何らかの素材で補う必要があります。いわゆる“詰め物・被せ物”による治療ですね。被せ物の場合は、歯の土台も作らなければならないのですが、保険適用か保険外かで使用できる素材の種類も大きく異なります。ここではそんな詰め物・被せ物・歯の土台について、種類やそれぞれの特徴、メリット・デメリット、さらには保険の適用の可否までわかりやすく解説します。

詰め物(インレー)

インレー

詰め物とは、専門的にインレーと呼ばれるもので、比較的軽度の虫歯に適応されます。歯の一部分だけ補うことから、歯の土台を形成する必要ありません。

保険適用

保険適用では、以下の素材を使用した詰め物を製作できます。

コンポジットレジンインレー

コンポジットレジンとは、歯科用プラスチックのことで白色を呈しています。ちょっとした虫歯治療にも使われる素材なので、おそらく皆さんも過去にコンポジットレジンを歯に充填した経験があるかと思います。

メリット

・白色で比較的天然歯に近い見た目に仕上げることができる
・治療期間が短い(2~3回の通院で治療が完了する)
・歯の切削量が少ない
・欠けたり変色したりしても修理が容易
・プラスチック素材なので金属アレルギーのリスクがゼロ
・費用が安い

デメリット

・経年的な摩耗や変色が起こりやすい
・かみ合わせが強いと割れたり、欠けたりすることがある
・審美性はセラミックに劣る
・セラミックよりも臭いや汚れを吸着しやすい

メタルインレー

メタルインレーとは、銀歯の詰め物です。保険診療では、金銀パラジウム合金が使用されます。

メリット

・歯科用合金は強度が高く壊れにくい(=奥歯にも使用できる)
・保険適用なので費用が安い
・治療期間が比較的短い

デメリット

・金属色がむき出しで審美性に劣る
・金属アレルギーを発症する可能性がある
・歯ぐきに金属色が沈着することがある(=メタルタトゥー)

保険外

保険外診療では、以下に挙げる素材をインレーに使用できます。

ゴールドインレー

ゴールドインレーとは、文字通り金(ゴールド)を使った詰め物です。

113,300円(2024年9月時点)

メリット

・強度が極めて高く、強い力のかかる奥歯にも使用できる
・歯との適合性が高く、虫歯の再発率が低い
・金属イオンが溶け出しにくく、メタルタトゥー、金属アレルギーが起こりにくい

デメリット

・見た目が金色なので目立ちやすい
・保険外の治療なので費用が高い

被せもの(クラウン)

クラウン

被せ物であるクラウンも、保険と保険外で使用できる素材が大きく異なります。

保険適用

保険適用の被せ物には、以下のようなものがあります。

硬質レジン(歯科用プラスチック)

硬質レジンとは、コンポジットレジンよりも少し硬めの素材です。

メリット

・白色をしており目立ちにくい
・金属アレルギーの可能性が一切ない
・保険の治療なので費用が安い

デメリット

・プラスチックなので経年的な摩耗や変色が起こりやすい
・かみ合わせが強いと割れたり、欠けたりすることがある
・審美性はセラミックに劣る
・セラミックよりも臭いや汚れを吸着しやすい

硬質レジン前装冠(前歯に限定)

硬質レジン前装冠とは、表側がレジン、裏側が金属で構成されたクラウンです。前歯のみ保険で製作することができます。

メリット

・見た目は本物の歯に似ている
・ベースは金属なので強度が高く、壊れにくい
・保険の治療なので費用が安い

デメリット

・レジンの部分は経年的な変色、摩耗が起こりやすい
・裏側の金属が見えてしまうことがある
・メタルタトゥー、金属アレルギーのリスクがある
・保険内では奥歯に適応できない

メタルクラウン(金属冠)

メタルクラウンは、いわゆる“銀歯”です。保険診療で大臼歯(奥歯)にクラウンを装着する場合、原則としてメタルクラウンとなります。

メリット

・金属なので強度が高く、奥歯にも適応できる
・保険の治療なので費用が安い

デメリット

・金属色がむき出して見た目が良くない
・金属アレルギー、メタルタトゥーのリスクがある
・虫歯の再発リスクはセラミッククラウンより高い

保険外(自費)

保険外クラウンでは、以下に挙げるような素材を使用することができます。

オールセラミッククラウン

オールセラミッククラウンとは、歯科用陶材(陶器)であるセラミック素材のみを使ったクラウンです。

メリット

・天然歯の色、質感、光沢、透明度を忠実に再現できる(=前歯に最適)
・汚れや臭いを吸着しにくい
・金属を一切使用しないので金属アレルギー、メタルタトゥーのリスクがゼロになる
・歯質との適合性が高く、虫歯を再発しにくい
・極めて安定した材料なので、経年的な変色、摩耗が起こりにくい

デメリット

・強い衝撃が加わると割れることがある(=奥歯に使いにくい)
・歯の切削量が比較的多い
・天然歯よりも硬く、かみ合う歯を傷めることがある
・保険外の治療なので費用が高い

メタルボンド

メタルボンドとは、外側がセラミック、内側が金属で構成された被せ物です。

154,000円(2024年9月時点)

メリット

・天然歯そっくりの見た目に仕上げることが可能
・内側は金属なので壊れにくい
・内側の金属をゴールドなどの貴金属にすることで金属アレルギーの可能性を下げることができる

デメリット

・内側に使用する金属の種類によっては金属アレルギー、メタルタトゥーのリスクが生じる
・オールセラミッククラウンほど美しくはない
・内側の金属が透けて見えることがある
・加齢や歯周病などで歯ぐきが下がると金属の部分が目立つようになる
・保険外の治療なので費用が高い

ジルコニアセラミッククラウン

ジルコニアセラミッククラウンとは、内側をジルコニア(セラミック素材の一種)、外側をセラミックで製作した被せ物です。メタルボンドとは異なり、すべてがセラミック素材となります。

88,000~176,000円(2024年9月時点)

メリット

・天然歯に近い美しさを再現できる
・ジルコニアは極めて硬く、壊れにくい(=奥歯にも使用できる)
・土台もセラミック素材なので金属色が透けて見えるようなことはない
・金属アレルギー、メタルタトゥーのリスクはゼロになる

デメリット

・歯の切削量は比較的多くなる
・見た目の美しさはオールセラミッククラウンに劣る
・天然歯よりも硬いため、かみ合う歯を傷めることがある
・ジルコニアを覆っているセラミックの部分が割れることがある
・保険外の診療なので費用が高い

ゴールドクラウン

ゴールドクラウンとは、金(ゴールド)を使用した被せ物です。

176,000円(2024年9月時点)

メリット

・強度が極めて高く、強い力のかかる奥歯にも使用できる
・歯との適合性が高く、虫歯の再発率が低い
・金属イオンが溶け出しにくく、メタルタトゥー、金属アレルギーが起こりにくい

デメリット

・見た目が金色なので目立ちやすい
・保険外の治療なので費用が高い

歯の土台(コア)

土台(コア)

被せ物であるクラウンを装着するためには、土台(コア)を築造する必要があります。コアに関しても、保険と保険外で使用できる素材が異なります。

保険適用

保険適用で使用できるコアの素材は以下の通りです。保険診療では主に銀合金が使用されます。

メタルコア

メタルコアとは、金属製の土台です。金属アレルギーやメタルタトゥーのリスクがあるなど、セラミックのみを用いたオールセラミック治療に劣る面が多々あります。ただ、保険が効いて、なおかつ丈夫なので、経済面を重視するのであればおすすめの素材といえます。

メリット

・適応範囲が広い
・保険の治療なので費用が安い
・強度が高く、奥歯にも使える

デメリット

・歯質よりも硬いため、くさび効果によって歯根が割れることがある
・トラブルが起きた際の再治療が困難
・金属色が透けて見えることがある(=前歯にはあまり向かない)
・金属アレルギーの可能性がある
・歯ぐきが黒ずむことがある(メタルタトゥーによる変色)
・歯質との適合性はそれほど良くないため、虫歯の再発リスクは高い

レジンコア(歯科用プラスチック)

レジンコアとは、歯科用プラスチックであるレジンを用いた土台です。

メリット

・硬すぎず、柔軟性もあり、歯根破折の可能性が低い
・金属を使用しないので見た目が良い
・保険の治療なので費用が安い

デメリット

・歯の状態によっては適応できない
・経年的な劣化が起こりやすい

保険外

保険外では、以下に挙げる素材を使用できます。

ゴールドコア

ゴールドコアとは、金(ゴールド)を用いた土台です。

55,000円(2024年9月時点)

メリット

・ほとんどの症例に適応できる
・金は硬すぎず、歯根破折の可能性が低くなる
・金属アレルギーのリスクは比較的低い

デメリット

・金属色が目透けて見えることがある
・太くて長いコアを入れた場合は再治療が困難となる
・保険外の治療なので費用が高い

ファイバーコア

ファイバーコアとは、レジンコアをFRC(ガラス繊維強化樹脂)という支柱(ポスト)で強化した土台です。

22,000円(2024年9月時点)

メリット

・柔軟性が高く、歯根破折のリスクが極めて低い
・白色で審美的に優れている
・再治療を比較的容易に行える
・金属アレルギーのリスクがゼロ

デメリット

・歯の状態によっては適応できない
・保険外の治療なので費用が高い

まとめ

このように、虫歯治療のあとに製作する詰め物・被せ物にはいろいろな種類がありますので、それぞれの特徴を理解した上で、慎重に選択することが大切です。そんな詰め物・被せ物、歯の土台についてさらに詳しく知りたい方は、お気軽に当院までご相談ください。